タイの生活費は1ヶ月いくら?家賃・水道光熱費・食費など内訳を解説

タイ・バンコクの暮らし

タイでの駐在が決まった方や、タイへの移住を検討している方にとって、気になるのが「現地での生活費」ではないでしょうか。

物価が安いイメージのあるタイですが、実際の生活費はどのくらいかかるのかは気になるところです。

この記事では、バンコクを中心に、家賃・水道光熱費・食費・交通費など、1ヶ月あたりの生活費の内訳を詳しく解説します。

一人暮らしや夫婦二人暮らしのケースも紹介しながら、日本との違いや節約のコツも紹介するので、タイ移住や長期滞在を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

バンコクでおすすめの不動産屋

タイで必要な生活費の一覧

計算している様子

「タイは物価が安い」と言われますが、実際にどの項目にどのくらいの費用がかかるのかは、意外とイメージしにくいものです。

ここでは、現地で必要となる主な生活費の項目と、支出額の目安について紹介します。

家賃

タイの生活費の中で最も大きな割合を占めるのが家賃です。

タイでは、居住エリア、物件の広さ・築年数、設備の充実度によって家賃相場が大きく異なります。

例えば、バンコク中心部のスクンビットやサトーンなど、日本人に人気のエリアでは、1LDK(30~50㎡)のコンドミニアムで月2~4万バーツ(約8.8~17.6万円)が相場です。

高級サービスアパートメントの場合、同じ広さでも1LDK(50㎡前後)で月10.3万バーツ(約45万円)ほどになります。

一方、バンコクの郊外やチェンマイ、パタヤといった地方都市では、広めの2~3LDKでも1~2万バーツ(約4.4万〜8.8万円)程度で借りられる物件も多く、家賃を抑えることが可能です。

また、タイの賃貸物件は日本とは異なり、家具家電付きの物件や、プール・フィットネスジムなど共用施設が充実している物件も多く、入居初日からすぐに生活できる点も魅力です。

共用施設としてプールやジム、セキュリティ完備のコンドミニアムも多く、物件によっては光熱費やWi-Fiが家賃に含まれているケースもあるため、契約前にしっかりと確認しておきましょう。

関連記事:タイ(バンコク)の家賃相場はどのくらい?

水道光熱費

タイの都市部では都市ガスの利用は一般的でなく、コンロは電気式やLPガスボンベを使用することが多くなります。

したがって、タイの主な水道光熱費は水道代と電気代です。

電気代はエアコンの使用頻度に大きく左右され、暑季(3~5月)には特に高くなる傾向があります。

一人暮らしの電気代は平均1,000〜2,000バーツ(約4,400〜8,800円)程度、家族での生活では3,000〜5,000バーツ(約1.3〜2.2万円)になることもあります。

水道代は非常に安く、単身なら月100〜300バーツ(約440〜1,320円)、家族でも500バーツ(約2,200円)前後に収まることがほとんどです。

ただし、タイの水道水は飲用に適さないため、飲料水としてペットボトルやウォーターサーバーの利用が一般的です。

500mlペットボトルは5〜7バーツ(約22~31円)程度で購入できます。

通信費

タイの通信費は日本と比べて非常に安く、スマートフォンとインターネットの両方でコストを抑えられます。

スマートフォンはプリペイドSIMが主流で、主要キャリア(AIS、True、dtac)では30日間使い放題のデータプランが月300〜1,000バーツ(約1,320〜4,400円)程度、通話付きプランでも500バーツ(約2,200円)程度で十分な通信が可能です。

自宅のインターネット(光回線)も高速で安定しており、月500〜1,500バーツ(約2,200〜6,600円)が一般的です。

通信速度はエリアによって異なるため、契約前に評判を確認しておくと安心です。

ただし、物件によっては家賃にWi-Fi代が含まれているケースもあるため、契約前の確認をおすすめします。

食費

タイの食費は日本と比べて非常にリーズナブルですが、生活スタイルによって月々の支出額は大きく異なります。

例えば、ローカル屋台やフードコートでは、1食あたり80〜250バーツ(約350〜1,100円)と安価に外食を楽しめるため、外食中心でも月3,000〜6,000バーツ(約1.3~2.6万円)程度に収めることが可能です。

タイ料理はもちろん、簡単な中華や軽食も豊富に揃っており、栄養バランスも意外と悪くありません。

一方、日本食やイタリアン、ステーキハウスなどの欧米系レストランは1食あたり200〜600バーツ(約880〜2,640円)が相場で、ワインやビールを頼めばさらに高額になります。

これらを頻繁に利用すると、月の食費は1万バーツ(約4.4万円)を超える可能性が高いでしょう。

また、「外食が高いなら自炊しよう」と考える方もいるかもしれません。

しかし、日本の調味料や輸入食材(醤油、みそ、納豆、和牛など)はタイでは高額で、日本の3〜4倍の価格になることもあります。

タイ産の鶏肉・豚肉、野菜、卵、米などは比較的安価なため、外食と自炊を組み合わせつつ、ローカル食材をうまく取り入れることが、タイで食費を抑えるコツです。

日用品

タイにおける日用品の価格は、全体的に日本よりやや安めです。

特にローカルブランドの商品を選べば、日常的な出費を抑えることができます。

例えば、トイレットペーパー6ロールで約90バーツ(約440円)、洗濯用洗剤(800ml)が約60バーツ(約260円)、シャンプーやボディーソープは100バーツ前後(約440円)で購入可能です。

タイ独自のブランドや中国製・韓国製の商品が多く出回っており、品質も悪くありません。

ただし、日本製や欧米ブランドの輸入品になると一気に価格が上がり、日本の1.5〜2倍程度になるケースもあります。たとえば、花王やライオンの商品、資生堂の化粧品などは高級品扱いになることが多いです。

一人暮らしの場合、日用品費の目安は月500〜1,500バーツ(約2,200〜6,600円)程度になるでしょう。

現地スーパー(Big C、Tesco Lotus、Makroなど)やドラッグストア(Boots、Watsonsなど)を活用し、現地品と輸入品を使い分けることで、快適かつ無理のない生活が実現できます。

交通費

タイの交通費は日本に比べて非常に安価です。

特にバンコクは、公共交通機関が充実しているため、移動に不便を感じるケースは少ないでしょう。

BTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)は1回あたり15〜62バーツ(約66〜273円)で利用でき、1日200〜400バーツ(約880〜1,760円)もあれば市内の移動には十分です。

また、通勤パスや回数券を活用すればさらに割安になります。

タクシーは初乗り40バーツ(約176円)と非常に安く、以降は1kmごとに6.5バーツ(約29円)が加算される仕組みで短距離移動に便利です。

Grabなどの配車アプリを活用すれば、事前に料金も調べられます。

交際費

タイでかかる交際費は、ライフスタイルや交友関係の広さによって大きく変わります。

目安としては、月3,000〜2万バーツ(約1.3〜8.7万円)程度が一般的です。

例えば、週に数回ローカルレストランで友人と食事をしたり、カフェに立ち寄ったりする程度であれば、月5,000バーツ(約2.2万円)ほどに抑えることも可能です。

飲み会を頻繁に開催したり、クラブや高級レストランを利用する機会が増えれば、月1〜2万バーツ(約4.4〜8.7万円)になることもあります。

娯楽面では、映画館の入場料が1回あたり250〜300バーツ(約1,100〜1,320円)と手頃で、日本より割安です。タイではマッサージも人気のアクティビティで、ローカル店での1時間コースは200〜400バーツ(約880〜1,760円)程度とコスパが良く、定期的に利用する人も多く見られます。

また、週末に友人と近郊の観光地(アユタヤ、パタヤ、フアヒンなど)へ小旅行に出かけるケースもあり、交通費・宿泊費・食費などを含めて1回あたり1,500〜5,000バーツ(約6,600〜2.2万円)程度が相場となります。

保険料

タイでの長期滞在や移住を考える際には、医療保険への加入も重要なポイントです。

現地の医療費は、ローカル病院であれば比較的安価ですが、外国人が安心して受診できる私立病院は費用が高額になる傾向があります。

駐在員など現地法人で雇用される場合、原則として社会保険制度(Social Security)に加入する必要があり、保険料は月750バーツ(約3,300円)を上限に、雇用主と折半して支払います。

加えて、多くの企業では私立病院に対応できる民間医療保険にも加入するのが一般的です。

年間保険料は2〜5万バーツ(約9〜22.5万円)程度が相場で、プランによっては入院費・手術費・通院費もカバーされます。

2025年以降、タイでは「コーペイメント(自己負担制度)」が広がっており、全額保険でまかなえないケースも出てきています。

そのため、保険加入時は補償内容とコストのバランスを見極めたうえでプランを選ぶことが重要です。

その他

生活費の中で見落としがちなのが、美容費や衣服費といった「その他の支出」です。これらは生活の質に影響する項目でありながら、金額は個人差が大きいのが特徴です。

例えば美容院の場合、ローカルのお店ならカット1回250〜350バーツ(約1,100〜1,500円)と非常にリーズナブルです。

ただし、日本人スタッフがいる日系サロンや高級美容室を利用する場合、カットやカラーで1,200〜3,500バーツ(約5,300〜1.5万円)かかることもあり、日本と同等かそれ以上の価格になることもあります。

衣服についても、ローカル市場やナイトマーケットであればTシャツ1枚100〜300バーツ(約440〜1,300円)で購入できるため、普段着は現地で揃えると経済的です。反対に、ショッピングモールやブランドショップでは、日本と同等〜割高な価格設定となっており、ユニクロや無印良品などは日本より1.5倍程度の価格になるケースもあります。

お気に入りのブランドがある場合は、日本で購入し持参する、あるいは一時帰国時にまとめ買いをしておくと出費を抑えやすくなるでしょう。

タイの生活費は1ヶ月いくらかかる?

黄色い財布

ここでは、タイでの生活費が実際どのぐらいかかるのか、一人暮らし・夫婦二人暮らしの場合それぞれのケースで分かりやすくまとめていきます。

生活スタイルや住むエリアによって幅はありますが、ここでは平均的な支出額をもとに費用を算出しました。

一人暮らしの場合

生活費の内訳 費用 (バーツ) 日本円換算
(1バーツ=4.4円)
家賃 25,000バーツ 約110,000円
水道光熱費 2,000バーツ 約8,800円
通信費 700バーツ 約3,080円
食費 10,000バーツ 約44,000円
日用品 1,000バーツ 約4,400円
交通費 2,000バーツ 約8,800円
交際費 5,000バーツ 約22,000円
保険料 2,500バーツ 約11,000円

一人暮らしの生活にかかる費用は、家賃や生活スタイルにより幅があり、おおよそ月15〜30万円と想定されます。

夫婦二人暮らしの場合

生活費の内訳 費用 (バーツ) 日本円換算
(1バーツ=4.4円)
家賃 25,000バーツ 約110,000円
水道光熱費 2,000バーツ 約8,800円
通信費 700バーツ 約3,080円
食費 10,000バーツ 約44,000円
日用品 1,000バーツ 約4,400円
交通費 2,000バーツ 約8,800円
交際費 5,000バーツ 約22,000円
保険料 2,500バーツ 約11,000円

夫婦二人暮らしの場合、水道光熱費や食費、交際費がやや高めに見積もられるため、月20〜50万円ほどの費用がかかると想定されます。

タイの生活費を抑える3つのコツ

お金とカードとノート

タイでの生活は日本と比べて安く済むといわれていますが、暮らし方によって支出に大きな差が出ます。

続いては、タイで月々の生活費を賢く抑えるための3つの実践的なコツを紹介します。

家賃が安いエリアに住む

生活費を大きく左右するのが家賃です。

特にバンコクなどの都市部ではエリアによって家賃に大きな差があるため、まずは住む場所を見直すことが節約の第一歩となります。

バンコク中心部であるシーロム、アソーク、プロンポン、エカマイといったビジネスエリアでは、1LDKでも家賃は2~4万バーツ(約8.8~17.6万円)ほどが相場となります。

対して、郊外のオンヌット、バンナー、ラップラオなどのエリアであれば、同じ広さでも1〜2万バーツ(約4.4〜8.8万円)で住める物件が見つかります。

さらに、BTSやMRTといった公共交通機関の駅近物件であれば、通勤や買い物も便利で、家賃を抑えながら快適に暮らすことが可能です。

タイでは家具・家電付き物件が一般的なため、初期費用も最小限に抑えられるでしょう。

日本食材の使用は控えめにする

日本食が恋しくなるのは当然ですが、現地で日本食材を日常的に使うと、食費が急激に上がってしまいます。

フジスーパーや伊勢丹など、バンコクの日系スーパーでは、みそや納豆などが日本の2〜3倍の価格で売られていることもあり、注意が必要です。

節約を考えるなら、ローカルスーパー(Big CやTesco Lotusなど)や市場でタイの食材を活用するのがおすすめです。

鶏肉や卵、野菜、米などは日本より安価で、新鮮なうえに美味しい食材も多いため、慣れれば十分満足のいく食事が可能です。

ナンプラーやオイスターソースなどタイの調味料を工夫して使えば、自炊のバリエーションも広がり、食費の節約につながります。

北向き・風通しの良い物件を選ぶ

日本では日当たりの良い南向きの部屋が人気ですが、タイではむしろ北向きの部屋が節約の味方になります。

タイは年間を通じて日差しが強く気温が高いため、南向きや西向きの部屋は日中の室温が上がりやすく、エアコンを長時間使用する必要があるため、電気代が上がります。

対して北向きの部屋は直射日光の影響を受けにくく、室温も比較的安定しているため、エアコンの使用時間を減らすことが可能です。

さらに、風通しの良い間取りであれば、自然換気で快適に過ごせる時間が増えるでしょう。

家具の日焼けも防げるため、在宅時間の長い方に向いています。

タイの生活費を把握して海外移住の準備をしよう

空港でキャリーケースを持つ男性

タイでの生活費は、住む地域やライフスタイルによって大きく異なります。

一般的な一人暮らしであれば月15〜30万円程度、贅沢な暮らしや都心部での高級コンドミニアム暮らしを望む場合は月50〜70万円に達することもあります。

夫婦二人で生活する場合も、シンプルな暮らしなら20〜50万円程度に抑えることが可能ですが、外食や旅行が多い場合は月80万円以上かかるケースもあります。

特に、家賃や食費、交際費が支出の大半を占めるため、これらをうまくコントロールすれば、タイでも無理なく快適な生活を実現できるでしょう。

ただし「タイ=物価が安い」というイメージだけで移住計画を立てるのは危険です。

日本製品や外資系のサービスを多く利用する生活スタイルを維持したい場合は、むしろ日本と同等、あるいはそれ以上の出費になることもあります。

そのため、移住を検討する際は、想定する生活スタイルに合わせた現地調査と資金計画を事前に立て、月々の支出だけでなく初期費用(敷金・礼金・ビザ取得・保険加入など)も含めたトータルの資金を準備しておきましょう。