日本よりも物価が安いため、生活費にかかる費用も少ないと言われるタイですが、実際のところはどうなのでしょうか。
今回は、タイでの生活費の相場をはじめ、引越しやビザにかかる費用について詳しく解説していきます。
タイへの移住を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
タイへ移住…生活費の相場は?
タイへ移住したい、そう思った時に気になるのが現地での生活費です。
ここでは、タイでの住居費用や食費、水道光熱費など、生活にかかる費用の相場をご紹介します。
※この記事では、1バーツ=3.9円で計算しています。
住居費用
タイで生活する費用の中で、最も大きな割合を占めるのが住居費用です。
タイは物価が安いイメージがありますが、首都バンコクは比較的家賃も高い傾向にあります。
特にバンコクの中でも特に日本人が多く住んでいる人気エリア「スクンビット」の家賃は、東京とあまり差がないと言われており、駅徒歩10分以内の広めの1ルーム、あるいは1LDKで3万バーツ(約117,000円)が相場です。
ただし、24時間セキュリティが常駐していたり、プール・ジムが付いていたりと、設備は非常に充実しています。
もう少し家賃を抑えたいなら、少し駅から離れたり、思い切って郊外に出たりするのもおすすめです。
8,000バーツ~2万バーツ(約31,200円~78,000円)ほどで、家具や家電、ジムやプールが付いている高級マンションに住むことも可能です。
食費
タイでは、外食やデリバリーが非常に安価で食べられます。
タイ料理なら1食あたり50~100バーツ(約195~390円)なので、1食100バーツ×3食を31日分として計算しても、1月の食費は9,300バーツ(約36,270円)です。
ただし、注意したいのが、これはあくまでタイ料理を食べた場合の金額という点です。
タイ料理は非常に安い反面、日本食を現地のレストランで食べようと思うと、それなりにお金がかかります。
例えば、日本食のレストランや日系のチェーン店では、1食あたり、100~300バーツ(約390~1,170円)が相場です。
外食が高いなら、自分で作ればいいと思われるかもしれませんが、日本の食品をスーパーで買おうと思うと、日本で購入する価格のおよそ3~3.5倍ほどします。
輸入などのコストがかかるため、日本で買うより高くなるのです。
そのため、タイでの食費は日本食をどの程度食べるかによっても変動します。
しかし、現地の食材で自炊したり、ローカルフードを中心に食べたりして、たまに日本食程度であれば、1月の食費を1万バーツ(約39,000円)程度で抑えることも可能です。
水道高熱費
タイは水道代が非常に安く、1ヶ月の平均使用料はおよそ100バーツ(約390円)です。
電気代も1ヶ月あたりの相場は1,500バーツ(約5,850円)と日本に比べると安価で、クーラーや暖房を1日中付けていたとしても、大きな出費にはなりません。
ただし、タイの水道水は飲料水には向いていないため、別でペットボトルやウォーターサーバーを用意する必要があります。
通信費
タイは通信費も安価です。
一番安いものであれば、スマホの通信費は1月あたり450バーツ(約1,755円)程度です。
最近はフリーWi-Fiが設置されているところも増えていますが、場所によってはまだまだ通信状況が不安定なことも少なくないため、多少不便さを感じることもあるかもしれません。
交通費
タイの首都バンコクは、BTS(モノレール)やMRT(地下鉄)があるほか、路線バスやタクシーも充実しており、非常に交通の便が良いのが特徴です。
また、タクシーの初乗り料金は35バーツ(約136円)、BTSやMRTは16バーツ(約62円)と東京に比べて費用も非常に安いです。
利用する距離などにもよりますが、1ヶ月1,000バーツ(約3,900円)程度で収めることができるでしょう。
保険料
タイで長期にわたり暮らしていくことを考えると、医療保険への加入も検討しておく必要があります。
駐在ではなく現地採用の場合でも企業側で医療保険に加入してくれる場合もありますが、企業によっては社会保険のみしか用意されておらず、個人で医療保険に加入しなくてはいけない場合もあります。
タイの国民医療保障制度は国民の約75%が加入しており、30バーツ保険と言われています。
治療を受けたい病院をあらかじめ指定することになり、その病院でしか基本的には医療サービスが受けられません。
最低限の医療給付となるため、より手厚い補償を受けたい場合には民間の医療保険に加入することになります。
民間の医療保険だとそのほとんどでキャッシュレス治療が可能です。
ただし保険料は高額になってしまいます。
保険会社や加入するプラン、年齢などによって異なるものの、毎月約3,000バーツ(約11,700円)が目安となります。
美容費
美容費は人によってかける金額が異なります。
スキンケアやメイクにお金をかけたい人もいれば、そこまでお金をかけなくても良いと考える人もいるでしょう。
近年タイコスメは日本国内でも注目されており、タイならではの天然素材を使ったアイテムが増えています。
値段もピンキリですが、できるだけ費用を抑えたいのであれば「キャシードール」などのプチプラブランドを活用するのがおすすめです。
美容室は、タイのローカルな美容室でカットとシャンプーを行った場合、500バーツ(約1,950円)前後まで費用を抑えられます。
日系の美容室だと1,000~1,500バーツ(約3,900~5,850円)程度はかかってしまうので、費用を抑えたいのであればローカルの美容室に行くのがおすすめです。
衣服費
衣服費も美容費と同様に、人によってかかる金額が違ってきます。
衣服にお金をかけない人であれば、年間10,000バーツ(約39,000円)を下回ることもあるでしょう。
タイの平均気温は約29℃、高温多湿で日本の真夏と同じような気候が続きやすいです。
乾季の11月~2月にかけては山岳地域だと深夜や早朝で0℃になることもありますが、都市部に関しては最低でも20℃以上になります。
そのため、コートなど厚手のアイテムを買う必要がなくなり、日本にいる時よりもお金をかけずに済むかもしれません。
「タイでの生活費は日本の3分の1で済む」って本当?
以前まで、タイでの生活費は日本の3分の1で済むと言われることもありました。
これはタイの物価が日本よりも安かったためです。
しかし、現在はタイの物価も上昇しており、バンコクに住もうとするとある程度の生活費を用意しなくてはなりません。
バンコクではなく、タイの地方で生活すれば日本の3分の1で済む可能性もありますが、バンコクとは違って英語も通じなくなり、タイ語を話せないと生活に支障をきたしてしまうかもしれません。
そのため、少し生活費は高くなってしまうもののタイで生活するならバンコクやその他英語も通じる地域で暮らした方が良いでしょう。
ただし、バンコクから近い都市なら英語も通じて、なおかつ生活費を抑えやすくなります。
例えばサムットプラカーンやチョンブリー、アユタヤなどは生活費を安く抑えることも可能です。
一方、バンコクとシラチャは日本人が多く住む地域であり、日本語で提供されるサービスもありますが、その分生活費は高くつきやすくなります。
タイでの生活費を抑える節約方法
少しでもタイでの生活費を安く抑えるためには、以下の節約方法を取り入れてみてください。
住居費用が安めのエリアに住む
まずは住居費用が安めのエリアに住むことで、生活費を安く抑えられます。
上記でご紹介したバンコクに程近い都市だとバンコク内に比べて住居費用も抑えやすくなるのでおすすめです。
ただし、利便性などを考えるとどうしてもバンコク内に住みたい方もいるでしょう。
バンコクで住居費用が高いのは、ビジネス街のシーロムやアソーク周辺、プロンポンからエカマイ周辺です。
これらの地域だと住居費用の相場は20,000~40,000バーツ(約78,000~156,000円)になります。
一方、郊外の駅周辺なら月10,000~20,000バーツ(約39,000~78,000円)まで相場が下がります。
郊外でも駅近物件なら利便性も悪くありません。
日本食材の使用は控えめにする
タイにも日系のスーパーが存在し、そこで日本の食材を購入することは可能です。
タイの食材や料理に慣れていない方にとってはありがたい存在と言えるでしょう。
しかし、節約を考慮するなら日本食材の使用は控えめにすべきです。
いくらタイの物価が日本より安かったとしても、輸入されたことで関税がかかり、日本食材は高額になっています。
例えば日本企業が製造した冷凍食品は、ものによっては100~250バーツ(約390~975円)もします。
日本なら同じ製品でも半額程度で購入できるでしょう。
このように、日本から輸入された食材はどうしても関税の影響で値段が高く設定されがちです。
節約を考慮するなら現地の食材もうまく活用していきましょう。
北向き・風通しの良い物件を選ぶ
物件を選ぶ際に、日本だと南向きの部屋を選ぶ方も多いでしょう。
しかし、タイだと1年を通して気温も高くなるので、南向きを選んでしまうと1日中エアコンを付けておかないと過ごしにくくなってしまいます。
また、日差しも強くなるため、せっかく採光の良い窓があっても日中はカーテンを閉めていなければ、家具や肌の日焼けが気になってしまう場合もあります。
こうした背景もあり、タイで物件を選ぶなら北向きの部屋を選ぶのがおすすめです。
また、北向きでなおかつ風通しの良い物件だと、エアコンを使用する頻度を減らすことができ、その分節約につながります。
タイへ移住…引越し費用の目安
海を越えての引越しとなると、どの程度費用がかかるのでしょうか。
ここでは、日本からタイへの引越し費用の目安を紹介します。
引越し費用の相場は?
日本からタイの首都バンコクまでの引越費用は、輸送する荷物の量によって異なります。
目安は段ボール10箱なら7~10万円、15箱なら20~13万円、18箱なら13~15万円ほどです。
加えて大型家具を持っていくとなると、さらにコストがかかります。
必要なものは現地で調達することも視野に入れておきましょう。
引越しの注意点
海外へ荷物を輸送するには、通関手続きや書類作成などの手間もかかります。
手続きを代行してくれたり、やり方を教えてくれたりする業者もあるため、不安のある方はサポート体制の整った業者を選ぶことをおすすめします。
また、船や飛行機を使った引越しでは、荷物が紛失する可能性もゼロではないため、輸送保険への加入も検討しておくと良いでしょう。
タイへの移住で必要なビザにも注意!
タイに移住するにはビザが必要ですが、入国する目的や期間によってどれを取得すれば良いかが異なります。
ここでは、ビザの種類や特徴、取得にかかる費用をご紹介します。
ノンイミグラントB(就労)
タイに移住し、働く方が申請できる就労ビザで、申請料は1万円です。
発行日から3ヶ月が有効期限で、入国後の滞在可能日数は90日です。
期間内にワークパーミット(労働許可証)を取得すれば、有効期間が1年間に切り替わります。
ノンイミグラントO(家族)
タイ人と結婚する方や、タイで正規就労する方の配偶者及び20歳未満の扶養家族が申請できるビザで、申請料は1万円です。
有効期限はノンイミグラントB(就労)と同じで、期間内に扶養者がワークパミットを取得すれば、有効期間が1年間に切り替わります。
ノンイミグラントO(年金受給者・リタイヤメント)
満50歳以上で、銀行預金残高が80万バーツ(約312万円)あるか、もしくは月額6万5,000バーツ(約25万円)以上の年金を受け取っている方が取得できるビザです。
申請料金は1万円です。
入国後の滞在可能日数は90日間ですが、入国後に延長を申請できます。
タイでの就労は認められていません。
ノンイミグラントO-A(ロングステイ)
就労や永住を目的としない方が、タイに長期滞在したい場合に取得するビザです。
申請するには、満50歳以上である、タイの入国禁止者リストに入っていない、日本での犯罪歴がないなど、定められた条件を満たしている必要があります。
申請料金は22,000円、入国日から1年間の滞在が可能であるほか、延長申請が1回1年間のみ認められています。
ノンイミグラントO-X(ロングステイ10年)
満50歳以上、300万バーツ(約1,170万円)以上の預金、または収入がある方が取得できるビザです。
日本国籍を有する、定められる禁止疾患ではない、タイの入国禁止者リストに入っていないなどの条件を満たす人が申請できます。
申請料金は44,000円、入国から5年間の滞在が可能であり、1回のみ5年間の延長申請が可能です。
タイランドエリート
タイでの長期在住を目的としている方が申請できるビザで、取得すれば5~20年滞在できるほか、入国管理手続きが素早く完了する、リムジンでの無料送迎サービスを受けられるなど様々な会員特典があります。
申請料金は60万バーツ(約234万円)~となっています。
タイへの移住は生活費以外にも注目しよう!
タイは、日本に比べて比較的物価が安いと言われていますが、首都バンコクで快適に暮らそうと思うとそれなりに費用がかかります。
タイに移住する際は、今回紹介した住居費用や食費などの生活費はもちろんですが、引越し費用やビザの申請にかかる料金も忘れずに準備しておくことが大切です。